2026/07/03 19:00
Ave Mujicaが、6月20日にSGC HALL ARIAKEにて、【Ave Mujica LIVE TOUR 2026「Exitus」-FINAL-】を開催した。
次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!(バンドリ!)」から誕生し、今年の春には台北で開催されたプロジェクト初の海外野外公演にも出演して大盛況。6月17日には初のベストアルバムをリリースするなど、バンドとしての躍進が続いている。そんな中で開催された今回の公演は、福岡、大阪、愛知、東京と巡ってきたツアーのファイナルに位置づけられた2DAYS公演の2日目で、前日に引き続きソールドアウトの超満員となった。
初めから驚きの連続だった。開演前のステージは、深紅に染まっていた前夜とは打って変わって、純白の幕で覆われていた。やがて荘厳な調べと共に無数の星空が照らし出され、一瞬の静寂から始まった轟音で、幕が振り落とされる。そこであらわになったのは、黒を基調に、鮮血のような赤が差し込まれたイブニングドレスを身にまとった5人の姿だ。
首元や肩口は大きく開かれ、それぞれに美しい色調のアイシャドウが目を引く。佐々木李子(ドロリス/Gt.&Vo.)の左目尻から頬にかけては、涙の轍(わだち)のような二筋が煌めいている。艶麗かつ扇情的な佇まいは、これまでのライブ、そしてエレガントなグレーが基調の衣装だった昨夜のステージを目撃していた人にも、驚嘆をもたらしたに違いない。
この新衣装をプロデュースしたのが、Ave Mujicaの作詞やサウンドプロデュースを担当しているDiggy-MO'だ。後日、「それぞれがより美しいカリスマを纏って輝けるよう、個々のデザイン、Showに適した華やかなメイク、ヘアスタイリングにまで詳細に拘っていきました」と自身のXにポストしていたが、今回のツアーでは全公演のライブプロデュースをも手掛けたという。ツアーファイナル2DAYS公演の2日目にして、セットリストや演出のみならず衣装やメイクまで一新させるアグレッシブなアプローチは、彼を知る人なら納得だろう。
2024年10月発表のミニアルバム『ELEMENTS』で“終わりの章”に位置づけられていた「Ether」を開幕に配した選曲も見事だ。疾走する2ビートで鼓舞する「DIVINE」、歌詞の細部までそのイズムが凝縮されたミドルバラード「Georgette Me, Georgette You」、初期の代表曲「Mas?uerade Rhapsody Re?uest」からシリアスなハイトーンが胸を打つ「碧い瞳の中に」と、序盤から息つく間もないほどの応酬が終わると、客席から、感嘆とざわめきの入り混じった異様な歓声がわき上がっていたのが印象的だった。
近年のAve Mujicaのライブでは、寸劇や演劇を模した幕間どころか、MCすら排除されてきていたが、この日もそうした演出は一切ない。サーカスが題材の退廃的な世界観をトリッキーに描いた「八芒星ダンス」で、力強い歌声を轟かせる佐々木。アップにしていた髪のリボンを乱暴に振りほどき、見下ろすような眼差しでリズミカルなドラムソロから「Crucifix X」へ繋ぐ米澤茜(アモーリス/Dr.)。ときにおどけた表情やキュートな仕草で魅了しながら、2つの国際ピアノコンクールで1位を獲得した圧巻の経歴に裏打ちされた実力で、変幻自在の調べを響かせる高尾奏音(オブリビオニス/Key.)。白く伸びた左足を台に乗せ、煽るような笑みを浮かべながら、「Choir ‘S’ Choir」の歪んだ重低音からハイトーンまでを行き来する岡田夢以(ティモリス/Ba.)。首元まである長袖のスーツに、大きく開いた漆黒のロングスカートを翻しながら、「Symbol II : Air」で踊るようにカッティングをかき鳴らす渡瀬結月(モーティス/Gt.)がいた。
わずか半年前に行った6th LIVE【Ulterius Procedere】と比べても、確かな成長と進化を感じさせるステージングは、5人がバンドとして、Ave Mujicaとして、どれだけの意識と覚悟で、鍛錬と経験を積んできたのかを伝えてくるようだ。しかも初ライブから約3年というキャリアゆえ、まだまだ荒削りなところがあり、成長を楽しめる余白まで備わっているのだからすごい。
また、TVアニメ『BanG Dream! Ave Mujica』ファンに嬉しい一幕も用意されていた。「Symbol Ⅲ : ▽」は流麗なピアノの旋律のみを伴奏に、悲痛なメロディを紡いでいく感傷的なバラードだ。見守るように、たおやかな笑顔を浮かべる高尾と、その眼差しに背中を預けて歌っていた佐々木が、激情に駆られて熱を帯びていく後半、向かい合い、互いを確かめ合うように奏で歌い上げる姿は、ドロリスとオブリビオニスの関係性を想起させるようでもある。それを大きなブレスで締めくくると、大合唱を誘う名曲「天球(そら)のMúsica」からは、ハイテンポでアグレッシブなナンバーをノンストップで畳みかけるラストスパートへ。止めどない激音の波で観客を飲み込み、会場のボルテージを最高潮まで導いていった。
その中で披露された「‘S/’ The Way」には、<うそみたいなほんとを見せてあげるわ>という一節がある。アニメ、ゲーム、コミック、声優によるリアルライブなど様々なメディアミックスを展開する次世代ガールズバンドプロジェクト「BanG Dream!」の一員であるAve Mujicaが今回のツアー、とりわけファイナル2日目で魅せた、バンドとしての、表現者としての佇まい。この日、この会場に足を運び、5人の今を目の当たりにすることを選んだ人たちの胸には、誇りにも似た感情が残ったのではないだろうか。
夏は再び台湾の地で追加公演を行い、秋にはさらに広大な会場で7th LIVEを開催することも発表された。ラテン語で出口を意味し、「転帰」や「死」までをも内包するという【Exitus】を超えた彼女たちの次に、大いなる期待を寄せたい。
Text by 杉岡祐樹
◎公演情報
【Ave Mujica LIVE TOUR 2026「Exitus」-FINAL-】
2026年6月20日(土)
東京・SGC HALL ARIAKE
<セットリスト>
M1. Ether
M2. DIVINE
M3. Georgette Me, Georgette You
M4. Mas?uerade Rhapsody Re?uest
M5. 碧い瞳の中に
M6. 八芒星ダンス
M7. 黒のバースデイ
M8. Crucifix X
M9. Choir 'S' Choir
M10. Symbol II : Air
M11. Symbol Ⅲ : ▽
M12. 天球(そら)のMúsica
M13. 顔
M14. Sophie
M15. ‘S/’ The Way
M16. KiLLKiSS
M17. Symbol I : △
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